では、仮にギリシャがデフォルトを宣言した場合、どのようになるのか非常に大雑把に考察してみます。
初めに債券の利回りから…
当ブログ上部のタブに[債券]ページが存在しています。そちらをクリックしていただけると中期間の債券利回り推移が表示されます。
ページ下部にPIIGSの利回りが載っているのでご参考ください。
これを見るとギリシャ10年物国債の利回りは15%を超えているのがわかります。また、現在も上昇傾向にあるようです。
事の発端は、2009年10月の政権交代によってギリシャの巨額の債務が明るみに出たことをきっかけです。政府ぐるみの粉飾が発覚し、ギリシャ国債は利回りを急激に悪化させています。
国債の価格下落は同国の財政を非常に圧迫させることに繋がります。国債を発行しても得られる金額が少ない上、償還時には額面とのギャップとなった多額の利子を支払わなければなりません。これはギリシャの経済を大きく下ブレさせ、更に財政を困難な状況へと導きます。まさにギリシャはデス・スパイラルを描いている最中と言えます。
ここで、仮にデフォルトを宣言した場合、どうなるでしょうか?
まず、ギリシャでは25%~30%が公務員と言われています。約4%となる日本からすると、ほとんどが公務員となっていることがわかります。
こうした公務員が職を失うか、給料の非常に大幅な減俸により、経済は大きく圧迫されることになります。消費自体が少なくなるためです。
また、景気の大幅な下ブレに伴い、犯罪率の上昇が見られるようになるでしょう。こうした環境の悪化は観光資源によって潤うギリシャへ打撃を与えます。観光客が減り、更に経済は衰退します。ギリシャは海運業も強いですが、犯罪率の上昇によって敬遠されるようになるかもしれません。
つまり、ギリシャの経済は一次産業と二次産業だけで支えていく必要に迫られることになります。
こうした一連の流れは当然のことながら国債による歳入を一切念頭に置かないためです。デフォルト宣言後は恐らく多くの投資家がギリシャの国債を購入したがらないでしょうから、信用を取り戻すまでの間は少なくとも自国の経済だけで立ち直る必要があるかもしれません。
デフォルトを宣言したアルゼンチンの場合、2001年末以降、急激に経済を持ち直しています。ただし同国は石油や天然ガスなどの資源や農産物と言った一次産業の強みが無視できません。
それでも、アルゼンチンは現在でも貧困に喘いでおり、経済的に厳しい環境が続いています。
しかし、ギリシャはEUの一員です。仮にギリシャがデフォルトを宣言することになれば、問題はEU全体に及ぶことになります。
最大の問題はこうした金融危機に対する回答をEU自体が持っていない点にあるでしょう。
もちろんギリシャ危機後には欧州金融安定ファシリティが立ち上げられ、金融の安定化を進めようとしていますが…。少なくとも結果としてギリシャを始めとするPIIGSの国債利回りは安定していないようです。
どうも、ギリシャについては財政の安定化を促すような働きかけが非常に強いように思えてなりません。
つまり、多すぎる公務員を減らして政府の歳出を減らし、同時に新たな雇用を創出することで歳入を増やさせたいのでは無いでしょうか?
実際にギリシャの国家運営は、かなり社会主義よりと言えますから、こうした圧力も無理ないことかもしれません。
ただ、これによる経済的な衰退は不可避と言えるでしょう。難民や貧困による餓死は避けがたいものと言えます。
次の記事ではデフォルトを宣言しない場合を考察してみます。
ギリシャが仮にデフォルトを宣言しなかった場合
筆者なりに世界金融危機の解決策を作成してみました。よろしければ、是非こちらを御覧ください。
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