1950年から2010年には経済的な動きと戦争が入り交じります。朝鮮戦争、ベトナム戦争、ドルショック、東西冷戦と共産主義の崩壊、湾岸戦争、IT革命と大小の規模を問わず、多くの出来事がアメリカにのしかかっているのがわかります。
トップの記事
米国債残高の歴史的な推移を分析 1791年~1849年
まず、1950年から1999年のチャートを描写します。
こうしてみると戦争があった割に、今までのインフレと異なる傾向が表現されています。円滑化されたかのように綺麗な曲線を描いており、1950年以前と比較しても特徴があまりありません。
注釈を入れてみます。
どうもあまり関連を見出すことができません。89年に冷戦が終結していますが、あまり関係がないように感じられます。
ベトナム戦争についてはその期間に関連して残高が上昇しているように見えますが、その後も上昇を続けています。こうした関連性の無さは、他の裏付けが存在していることを表しています。
こちらはアメリカの1947年から2006年の軍事費推移。意外と増加していません。また、国債残高推移とは相似関係にはありません。裏付けの一つである可能性はありますが、説明が十分とは言えません。
1968年から2000年までの金価格推移。商品価格も関連を見いだせません。
こちらは1960年から2009年までのGDP推移。
裏付けは、ただ単に経済成長しただけかもしれません。特にWW2以降は世界最強の国家として基軸通貨となっていましたから、周辺諸国の成長に合わせるようにGDP成長せざるを得ない状況にあったことは事実です。
さて、先程の米国債残高推移は1950年から1999年までの物だったので2000年から2010年までのものを追記します。
注釈を記述します。
1999年から2001年までのITバブル期は株式が国債を一時的に吸収していた可能性があります。しかし、長く続きませんでした。あっという間にバブルははじけて、アフガン戦争、イラク戦争へアメリカは進みます。
2008年にはリーマンショックに見舞われ、国債残高が急激に増えるペースを増しています。
ドルは基軸通貨であるため、世界的な新興国の成長期にあって、アメリカだけでは基軸通貨を支えることができなくなった可能性があります。世界的なドル需要を吸収しきれず、ドルの発行と共に国債を増やし続けたのでしょう。
また、インターネットバブル時には、日本が急激に国債を増やしている点も興味深いです。一概にアメリカの国債が増えないからと言って、他の国で国債が増えないと言うわけありません。このあたりが経済の難しさかもしれません。
つまり、1950年以降は、特に1971年のドルショック以降では強すぎるドルによって、アメリカは国債を大量に発行せざるを得なかったと言えます。
1791年から2010年までの米国債発行高推移です。
WW2と1971年のドルショック以降が著しく上昇している点を除いて、WW2以前ではフラットにしか見えません。
2008年以降の国債の伸びは確かに異常に見えますが、こうしてそれぞれの時代を振り返ってみると、意外にも時代の節目ごとに訪れる急激な伸びの一つに過ぎないのかもしれません。
よく言われるのはインフレによってかつての1$は現在の80$程度の価値にまで希薄化していることも事実です。ただ、人口や科学技術などを始めとする経済規模そのものも拡大しているので、同一視すべきでないことも確かと言えるでしょう。
さて、これで米国債の歴史的な推移と分析をひと通り終えました。
次は20世紀初頭にWW1の敗戦によりマルクがハイパーインフレを起こした際のドイツ国債、20世紀末にデフォルトしたアルゼンチン国債、ジンバブエドルがハイパーインフレを起こしたジンバブエ国債などを分析するかもしれません。
以上、米国債残高の歴史的な推移を分析 1950年~2010年に関して記述致しました。
トップの記事
米国債残高の歴史的な推移を分析 1791年~1849年
0 件のコメント:
コメントを投稿
この度はコメントをいただき誠にありがとうございます。
必ずしもコメントにご返信できるかはわかりません。