2012/07/05

債務危機を救う政府資本注入型マイナス金利政策について

2013/03/12時点での案は大幅に刷新しました。
現在までのところ以下の記事を更新する予定はございません。
あくまでも過去に作成した案です。

序文

国債は本来貨幣(現金・預金)を生み出すために必要な証明書に過ぎません。

国債の本質は、貨幣を生み出し維持するための証券と言うことです。

現在見られる債務危機は、貨幣を生み出すために必要な証明書が大量に市場に存在していると言うことを表しています。

そのため、単に相当する貨幣を生み出せば、危機を脱することが可能です。

つまり、問題の根本は債務と貨幣のバランスにあると言えます。

このバランスを適正化させることで、債務によって強く抑制されている先進国経済を再び活性化させることが可能です。

この際、新たに生み出した貨幣は政府へ注ぎ込めば即効性と高い効果をもって現実的に使用することが可能です。また、波及効果により現在見られる全ての資本主義症候群が相当分緩和します。

ただし、インフレーションレート・CPIには細心の注意が必要となるでしょう。私個人は3%から7%での年率レートを推奨致します。つまり、インフレーションレートペッグ制のような経済体制へ向かうことになります。

当然のことながら日本だけでなく中央銀行が存在する全ての国家において、この手法を適応することが可能です。

以下では、債務危機、金融危機、デフレ不況、世界恐慌を防ぐことができる政府資本注入型マイナス金利について記述しています。

政府資本注入型マイナス金利政策は、非常に大きな経済効果をもたらします。

ここで記述している政府資本注入型マイナス金利とは、中央銀行から政府へ資本注入を行うことによって貨幣を希薄化させ、希薄化によるマイナス金利効果を生み出すことを指します。預金にマイナス金利をかけたり、金融取引税をかけたりする…と言った世間一般に言われるマイナス金利ではありません。

また、政府紙幣を発行させる政策ではありません。単純なリフレーション政策ではありません。

中央銀行による国債引き受け、いわゆるマネタイゼーションのことを指しているわけでもありません。

自国政府に中央銀行から資本注入を行う政策です。

過去には、自国通貨政府供給政策 貨幣調整政策 政府資本注入政策と言うタイトルで記述していました。ややっこしいのか、変に誤解させてしまうため、今回は政府資本注入型マイナス金利政策と記述しています。

この記事で中央銀行の定義は広義の意味での中央銀行を指します。FRB、ECB、日本では日銀、財務省、造幣局を合わせた意味で用いています。



政府資本注入型マイナス金利政策の経済効果

メリット

・債券のデフォルトが無くなり、債券の償還が安定化する。

・財政収支を改善し、財政再建を現実化する。

・政府への資本注入によって貨幣が希薄化し、マイナス金利効果が生じる。これにより現実的な形での金利の下限を突破することが可能となり、流動性の罠を解消する。

・貨幣がより正確に景況を反映できるようになるため、関税が不要になる。

・通貨安を引き起こし、外需強化を容易にして貿易収支を黒字化を促進させる。

・資本注入金額分の減税や公共投資拡大が可能になる。

・貿易収支と財政収支を黒字化させ、双子の赤字を解決可能にする。

・公共投資を拡大可能にして、内需拡大を容易化する。

・公共事業の拡大によって雇用創出を促進し、プラスの乗数効果を生み出す。

・死に金も希薄化の対象となる。これにより積極的な投資と、長期的な死に金の無効化を行うことが可能になる。


デメリット

・政府への資本注入額の規模に応じてインフレが生じる。

・自国通貨建ての資産が、マイナス金利分、希薄化する。

・超長期間(目安として3%から7%の貨幣劣化速度で60年から120年に1度の頻度)に一度の頻度で新通貨移行リスクが生じる。


最終的な過程として、ワニの口が閉じる可能性があります。



政府資本注入型マイナス金利政策の12の手順

1 中央銀行は政府に対し資本注入を行う。この際、中央銀行は都市銀行に対する融資は継続する。

2 政府はこの資本注入によって歳入を補う。

3 政府は適切な投資を行う。もしくは相当分の税金を無くす。

4 政府は同時に債券の償還を行う。

5 国家運営の各指標は後述する指標を基準とする

6 マイナス金利分による3%から7%相当のインフレと通貨安を発生させる

7 政策金利を上昇させる。国債利回りが上昇した場合、中央銀行が購入する必要があります。

8 銀行が政策金利上昇分のリスクを取りやすい環境を作り上げる

9 銀行から企業への融資を活発化させる

10 企業投資を活性化させる

11 雇用情勢を改善させる

12 個人の消費、失業率、預金率を改善させる


この政策の最も重要な概念

ここでは冗長化を避けるために中央銀行と政府のみで経済を簡潔に表現しています。

・通常の金融サイクルは以下のようになります。

中央銀行 ← 政府  1,政府は国債を中央銀行に売却

中央銀行 → 政府  2,中央銀行は政府に貨幣供給を行う

・マイナス金利政策の政府への資本注入では以下のように行います。

中央銀行 → 政府  1,中央銀行は政府に資本注入を行う

中央銀行 ← 政府  2,政府は国債の償還や減税を行う


そもそも、国債は貨幣(現金・預金)を生み出すために必要な債券に過ぎません。国債が存在する分、貨幣を生み出すことが可能です。ただし、国債を発行してから貨幣を供給すると利回り分供給されないことになるため、直接政府へ資本注入を行うことで債務と貨幣の供給量を調整する必要があります。

更に一歩進めると国債と貨幣の供給量バランスを調整することで国家の成長を促進させたり抑制させたりすることが可能になります。

後述のMDRで例えるなら300%へ向かうほど成長が促進され、33%へ向かうほど債務が重くなり成長が抑制されます。



マイナス金利の割り出し

I = 1 - TMS / (TMS + GMS)


 (1 - (TMS+GMS)/TMS )


I : 金利
TMS : 貨幣供給量(預金+現金)
GMS : 政府に対する資本注入額


※こちらの方が良いかな? と思って書いた式



インフレターゲット

IT = IR + (-I)
※この式は簡略式です。
IT : インフレターゲット
IR : インフレーションレート(CPIなど)
I : 金利

政策金利をIに当てはめます。

例えば、以下の様になります。


IT = 0.002 + (-1 * -0.07)


IT = 0.072

以上の場合、インフレターゲットは7.2%になります。

筆者自身はインフレーションレートを年率3%~7%にするべきだと考えていますが、ここではわかりやすくするために7%を上乗せして7.2%にしています。


つまり、インフレーションレートが0.2%で、貨幣供給量が約1000兆円となる国家に金利-7%を適用させると、政府に対する貨幣供給量は以下のようになります。

GMS = TMS * -I


= 1,000T * 0.07


= 70T


GMS :政府に対する資本注入額
TMS :貨幣供給量
I :金利
T :1兆(Tln)

A,年間70兆円を政府へ資本注入することが可能です。

これは日本をモデルとしています。

つまり、全ての税金を無くした上で、震災の復興にかかる費用を、全てこれだけで補うことが可能です。

当然のことながら、日米欧の債務問題を解決することが可能となっています。



GDP資産債務比率

B=(G+A)/D


G : 一人あたりGDP
A : 一人あたり家計金融資産
D : 一人あたり総債務


Bを100%から300%に設定する。

100%を切ると債務が国家の重石となります。

300%以上は債務が足りないことを表します。



貨幣債券比率

MDR=M/D


MDR:比率
M:貨幣供給量
D:債券

MDR=33%~300% を推奨します。より安全性の高いレンジは50%から200%です。

300%へ近づく、もしくは超えると債券の利回りが低下します。
→国家が成長している場合は債券の利回りを抑えます。また、有効な投資先がバブルへ向かいます。

→国家が不景気にある場合、利回りが低下します。有効な新規の投資先が無く、既存の投資先が劣化するため、都市銀行が貸し渋りや貸しはがしに走るようになります。

33%へ近づく、もしくは下回ると、債券の利回りが上昇します。
→国家が成長している場合は、国債の利回りが上昇し成長が鈍化します。有効な新規の投資先や既存の投資先は十分な資金を得ることが出来ずに衰退する可能性が高まります。

→国家が不景気にある場合、デフォルトのリスクが高まります。世界恐慌や世界金融危機がこれにあたります。



貨幣劣化速度

政府への貨幣供給によって、貨幣は必ず劣化します。劣化速度の想定として4パターン挙げてみます。

ここではインフレーションレートが常0%で、-3%~-7%のマイナス金利を行うものと前提付けします。(実際にはある程度のインフレやデフレが常に生じます。)

60年 120年
3% 572% 5,415.55%
7% 3,370% 313,812%

これではちょっとわかりにくいので、1年目の1円がどうなるかを表示してみます。

60年 120年
3% 5円72銭 54円15銭
7% 33円70銭 3,138円12銭

筆者個人としては100,000%のインフレ、1円が1000円になるまでにデノミネーションを行う必要があると考えています。(現在の日本の場合、1円が10円になったらデノミネーションを行う必要があります。)

そのため、-7%のマイナス金利を続けた場合、104年目(1,062円)までにデノミネーションを行う必要が生じます。

実際には、常に人口などの増加に伴ってインフレは生じます。そのため、貨幣と債券の比率を整えれば、マイナス金利は0%から-7%に収まるか、そもそも行う必要がない状況となります。



通貨移行リスク

デノミネーションによる通貨移行リスクは実例を見るとわかりやすくなります。

トルコのデノミネーション
(参考:トルコ

2005年1月1日、トルコは新トルコリラを発行し、事実上の100万分の1のデノミを行った。2000万トルコリラ紙幣(当時は約1,500円に相当)は20新トルコ・リラになった。

2004年から2011年のトルコインフレーションレートです。

こちらは安定した2005年での推移も安定しています。

他の指標も同時期には安定しています。ただし、経常収支や貿易収支の赤字幅は近年大きく膨らむ傾向にあります。詳しくは(トルコ)を参照してください。

1970年代から2000年代前半にかけて、トルコは非常に高いインフレを経験しています。そのため、直近でのこうしたレートも歴史的に見ると安定した推移と言えます。

また、2005年のデノミネーションでは、大きなインフレを引き起こしていないことがわかります。


アルゼンチンのデノミネーション
(参考:アルゼンチン

1992年1月1日  アルゼンチンは「アウストラル」→「ペソ($)」(10,000分の1 USDと等価)のデノミネーションを行った。

2002年2月11日 変動性相場へ移行

1989年から1992年1月のアルゼンチン・インフレーションレートです。

1989年には5000%を超えるインフレとなっています。

1992年1月に新通貨への移行、10,000分の1のデノミネーションを行なっています。


1992年から2011年のインフレーションレートです。

2001年12月 アルゼンチン国債デフォルト

2002年2月11日 変動性相場へ移行

2002年前後にはインフレが上昇しているスパイクが形成されています。しかし、これは1990年代のレベルではありません。

1992年から2011年のアルゼンチン・ペソ/USDレートです。

2002年2月11日には変動性相場へ移行しました。

2002年のインフレレートにおけるスパイク形成は急激な為替変動によるもので可能性があります。

ちなみにアルゼンチン経済は近年、比較的安定しています。

この例では、デノミネーション自体がインフレを引き起こす原因とはなっていないことがわかります。


他にも以下のようなデノミネーションの例が存在します。

ウクライナ 1996年 10万:1のレートで新通貨へ移行

イラクでは、これから新通貨への移行が行われます。

ベネズエラ 2008年1月1日 1000:1のレートで新通貨への移行

ベネズエラでは、同時期にインフレの急激な上昇が見られます。

ペルー 1985年 1000:1  1991年 1.000,000:1

ペルーでは金融政策の誤りや、南米の金融環境悪化に連動し、不安定な推移が相次いでいます。


ドイツ、日本、ハンガリーなどでもデノミネーションは行われています。残念ながらこちらの正確なインフレーションレートは用意できていません。

実例からは必ずしもデノミネーションがインフレを上昇させる裏付けとはなっていないことがわかります。ベネズエラなどの例では、一部の富豪による極端な富の独占など、他の要因も無視できない状態にあります。





以下、再考中
アメリカへの適用例

アメリカへマイナス金利政策を適用させれば、現在見られる貧富の極端な格差を解決することが可能です。

アメリカの指標はしっかりと把握することができないので、完全に推測として例を作成します。

残念ながら、信頼性のないデータと捉えてください。

貨幣供給量 M2:9586.9Bln$ → 9.6Tln$

総債務;54,568.5Bln$ → 54.6Tln$(国債・地方債)

家計金融資産:35,2Tln$(現金・預金・保険・年金・有価証券・株式・その他)

インフレーションレート:3.80%

GDP:14.66Tln$

歳入:2.162Tln$

歳出:3.456Tln$

人口:313,232,044
→一人あたりGDP:46,802$
→一人あたり家計金融資産:112,376$
→一人あたり総債務:174,311$

・政府への資本注入額を求める

望ましいインフレーションレートを7%にした場合は…

-3.2%の金利を適用します。

GMS = TMS * -I

       = 9.6 * 0.032

       = 307.2Bln$(0.3072Tln$)

GMS:政府への資本注入額

TMS:総貨幣供給量


A,年間307.2Bln$を政府へ資本注入可能


・GDP資産債務比率

B=(G+A)/D

G : 一人あたりGDP
A : 一人あたり家計金融資産
D : 一人あたり総債務

Bを100%から300%に設定する。


B = (46802 + 112376)/174311

  = 91.318%


A,91%

債務が重石となっている可能性があります。

マイナス金利によって、債務を整理することが望ましいかもしれません。


・貨幣債券比率

R=M/D

R:比率(以下MDR)
M:貨幣供給
D:債券(地方債など含む)

R = 9.6 / 54.6

   = 0.175824


A,17.58%

貨幣供給量が少ない可能性があります。

全体の傾向を整理すると、債務が多く、貨幣供給量が少ない傾向にあることがわかります。





ユーロ圏への適用例

ユーロ圏へマイナス金利政策を適用させれば、ギリシャ問題を解決可能です。

ユーロ圏の指標を列挙してみます。残念ながら正確なものではなく信頼性にかけるデータとなっています。

貨幣供給量 M3:9,755bln euro (17カ国)

総債務:

家計金融資産:

インフレーションレート:3.00%

GDP:16.07Tln$

歳入:

歳出:

人口:492,387,344
→一人あたりGDP:
→一人あたり家計金融資産:
→一人あたり総債務:


大変申し訳ないのですが、具体的な数字が手に入りませんでした。

単純に-4%としてインフレーションレートを7%にするなら以下のようになります。

GMS = 9.755 * 0.04

        = 0.3902Tln Euro (390.2Bln Euro)


A,年間390.2Bln Euroを政府へ資本注入可能


現在のギリシャ国債総額が3400億ユーロとも言われていますから、3902億ユーロを年間供給があれば十分に債務を圧縮可能です。

新しいマイナス金利によってユーロ安も同時に生じますから、PIIGS以外の国家も効率的な形でGDP資産債務比率を改善することが可能となります。



以下に下書き段階でのリンクを列挙致します。

JEL Classification Number H63

原案と関連の構想
自国通貨政府供給政策 貨幣供給を政府に行い、実質的にマイナス金利を自由に生み出す手法について
The policy of domestic currency supply to the government.Conduct money supply to the government,and free method for producing a substantially negative interest rates.
貨幣調整政策 政府資本注入政策(自国通貨政府供給政策)の暫定修正案

新マイナス金利1 新しいマイナス金利について
新マイナス金利2 具体的な例
新マイナス金利3 債務と貨幣供給量のバランス
新マイナス金利4 ハイパーインフレ
新マイナス金利5 デノミネーション
新マイナス金利6 通貨高対策
新マイナス金利7 債券は完済できるか?
新マイナス金利8 新しいスタグフレーションを想定する
新マイナス金利9 中央銀行による国債の買い取りについて
新マイナス金利10 従来のマイナス金利について
新マイナス金利11 浅はかとしか言い様のないベーシックインカムについて
新マイナス金利12 具体的なインフレターゲット
新マイナス金利13 アメリカへの適用例
新マイナス金利14 ユーロ圏への適用例

世界金融危機の解決策 マイナス金利

反独占理論1モノポリーと現在の経済の問題について
反独占理論2 精算とデフォルト 次世代モノポリーについて
反独占理論3 精算なしで近い比率に戻すには
反独占理論4 精算無しハイパーインフレ無しで比率を改善するには
反独占理論5 衰退のプロセスについて

米国債残高の歴史的な推移を分析 1791年~1849年
米国債残高の歴史的な推移を分析 1850年~1899年
米国債残高の歴史的な推移を分析 1900年~1949年
米国債残高の歴史的な推移を分析 1950年~2010年

ニューノーマル経済の構想

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