対象となる指標は、人口、GDP、失業率、10債利回り、政策金利、インフレーションレート、輸入量、輸出量、貿易収支、経常収支、企業信頼感指数、消費者信頼感指数、株価指数です。
この記事では、輸入量、輸出量、貿易収支、経常収支を記述します。
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こちらが99年から2011年までの輸入量推移です。
2004年ころに至るまでは頭打ちの印象がありますが、2004年以降では急激に輸入量を増加させているのがわかります。
一度リーマン・ショックの影響でGDPを低下させた後、再び上値を伸ばしています。現在までのところ、ブラジルの内需は安定的に成長しているようです。
ブラジル輸出量推移です。1997年から2011年のデータとなります。
1997年から1999年に、急激なスパイクが形成されています。
この三度のスパイクの裏付けは取れませんでした。恐らくアジア通貨危機を端にしたブラジル通貨危機との関連があるかと思います。この時期に新興国の通貨価値が著しく乱高下したため、相対的に金額ベースで価値が乱高下した可能性もありますが、それだけではこれほどのスパイクにはならないかと思います。
ブラジル貿易収支の推移です。
直近での流れでは季節変動について…
農業が非常に強いため、輸出は農業の季節変動をもろに反映しているのが特徴です。
主要な輸出品目を確認してみます。
輸出統計(品目別)
最終更新日: 2010年08月17日
単位:100万ドル、%
2008年 | 2009年 | |||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
輸出総額(FOB) | 197,942 | 152,995 | 100.0 | △ 22.7 |
一次産品 | 73,028 | 61,957 | 40.5 | △ 15.2 |
鉄鉱石 | 16,539 | 13,247 | 8.7 | △ 19.9 |
大豆 | 10,952 | 11,424 | 7.5 | 4.3 |
原油 | 13,556 | 9,152 | 6.0 | △ 32.5 |
鶏肉 | 5,822 | 4,818 | 3.1 | △ 17.2 |
大豆かす | 4,364 | 4,593 | 3.0 | 5.3 |
半製品 | 27,073 | 20,499 | 13.4 | △ 24.3 |
粗糖 | 3,650 | 5,979 | 3.9 | 63.8 |
木材パルプ | 3,901 | 3,309 | 2.2 | △ 15.2 |
鉄鋼半製品 | 4,002 | 1,734 | 1.1 | △ 56.7 |
工業製品 | 92,683 | 67,349 | 44.0 | △ 27.3 |
航空機 | 5,495 | 3,860 | 2.5 | △ 29.8 |
乗用車 | 4,916 | 3,245 | 2.1 | △ 34.0 |
自動車部品 | 3,510 | 2,417 | 1.6 | △ 31.1 |
精製糖 | 1,833 | 2,399 | 1.6 | 30.9 |
燃料 | 2,964 | 2,007 | 1.3 | △ 32.3 |
携帯電話・同部品及び付属品 | 2,550 | 1,801 | 1.2 | △ 29.4 |
その他 | 5,159 | 3,189 | 2.1 | △ 38.2 |
〔注〕通関ベース
〔出所〕開発商工省貿易局
〔出所〕開発商工省貿易局
現在でも一次産品は40%を占める主要な輸出品です。
2004年以降急激に製造国化が進んでいますが、まだまだ農業立国であることがわかります。
ブラジル貿易収支の長期的な推移です。
90年代には非常に苦しい状況にあったことがわかります。これはハイパーインフレ後の信用収縮による産業の衰退が関係しているかもしれません。
それでも粘り強く成長できたのは農業が強かったためでしょう。農業が無ければ非常に危険な状況にあったはずです。
そのご、2002年から2006年にかけてピークを形成していますが、その後乱高下を繰り返しているのがわかります。
輸入品目をここで確認してみます。
輸入統計(品目別)
最終更新日: 2010年08月17日
単位:100万ドル、%
2008年 | 2009年 | |||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
輸入総額(FOB) | 172,985 | 127,647 | 100.0 | △ 26.2 |
資本財 | 35,933 | 29,690 | 23.3 | △ 17.4 |
工業用機械 | 10,992 | 9,800 | 7.7 | △ 10.8 |
事務・科学機器 | 7,085 | 5,728 | 4.5 | △ 19.1 |
原材料および中間財 | 83,056 | 59,689 | 46.8 | △ 28.1 |
化学・医薬品 | 21,185 | 17,272 | 13.5 | △ 18.5 |
鉱産品 | 15,447 | 9,685 | 7.6 | △ 37.3 |
中間製品(部品) | 11,132 | 8,480 | 6.6 | △ 23.8 |
輸送機器付属品 | 11,679 | 8,422 | 6.6 | △ 27.9 |
消費財 | 22,527 | 21,523 | 16.9 | △ 4.5 |
非耐久消費財 | 9,817 | 9,910 | 7.8 | 0.9 |
医薬品 | 3,493 | 3,686 | 2.9 | 5.5 |
食料品 | 2,812 | 2,757 | 2.2 | △ 1.9 |
耐久消費財 | 12,710 | 11,613 | 9.1 | △ 8.6 |
乗用車 | 6,051 | 5,893 | 4.6 | △ 2.6 |
個人用装飾品ほか | 2,412 | 2,282 | 1.8 | △ 5.4 |
家庭用機械機器 | 2,489 | 1,895 | 1.5 | △ 23.9 |
燃料および潤滑油 | 31,469 | 16,745 | 13.1 | △ 46.8 |
〔注〕通関ベース
〔出所〕開発商工省貿易局
〔出所〕開発商工省貿易局
ブラジルは近年、油田が見つかることが多いため、もし原油などのエネルギーによって貿易収支が圧迫されている場合、急激に貿易収支を改善する可能性があります。
ただ、直近での貿易収支の乱高下はエネルギーによるものではありません。為替変動の乱高下によるところが大きいです。
今後も農業立国+産業活性化+原油輸出と言ったシナリオが現実に成立すれば、貿易収支を更に伸ばすこともありうるかもしれません。
ただ、その場合はブラジルレアルが更に上昇することになりそうです。
ブラジル経常収支の長期的な推移です。
2003年から2007年前後にかけて黒字にありましたが、直近では赤字に転落しているのがわかります。
これはブラジルが抱える莫大な対外債務によるところが大きいようですが、対外債務はGDPからすると20%もないようなんですが…いまいち信頼できるデータが出せません。
やはり所得収支の落ち込みが顕著となっています。
どうも一説によると、リーマン・ショック以降に手元流動性を欠いた欧米の企業が本国への利益送金を大幅に増やした…との話も聞かれます。
欧米先進国への技術依存が高いようですと、今後も欧米諸国の停滞が続く可能性が高いため、経常収支の赤字は続くことになりそうです。
貿易面の指標を大雑把に確認してみました。
ブラジルはインドと異なりエネルギーの問題はありませんが、欧米企業などの外資に産業を依存している側面が無視できません。
なにぶん金額が大きいので今後、経常収支が黒字化するかはわかりませんが、一方で大国としての素地は十分に揃っています。難しい立ち位置にあるかもしれませんが、欧米諸国が停滞している以上、外資依存の産業では引き込まれるのを何とか阻止してもらいたいものです。
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