正直BRICsの一角の中では、かなり実態が弱い経済となっているようです。
まずはGross Domestic Product(GDP)から見ていきます。
1999年から2008年は安定的に増加傾向となっているのがわかります。
冷戦終結後の1989年から2011年の推移はこちらです。
2000年がボトムとなっています。
特に1980年代から2000年にかけてロシア経済は暗黒期となっています。
他の指標では、かなりわかりやすく表現されています。
こちらは1960年代から2011年までのロシア人口推移。
1990年代にピークを形成した後、直近の2010年まで下落を続けているのがわかります。
ほんの直前に到るまで、ロシア経済は深刻な停滞期にあったわけです。
こちらかが1980年から2011年までの人口推移。
ここで見るとピークは1993年とわかります。
直近の推移はこちら。
2010年から2011年に人口が増加に転じているのが特徴です。
…この人口の増加について筆者の推測を書くと…
もしかすると、中国から極東ロシアへの人口流入によるものかもしれません。この場合、中国人による地元経済の環境悪化を招いている可能性が高いため、良いことは恐らくないでしょう。
それにしても中国人は増殖力が強いですね。
ロシアの輸入推移です。大体1994年から2011年の期間となります。
やはりGDP推移と同様に2000年から輸入が増加を始めているのがわかります。
こちらが直近での月毎の輸入量推移です。
やはり2009年に一度ボトムを形成した後、上昇傾向です。
特徴的なのは2月に輸入量が落ちていることでしょう。もしかすると、これも中国春節の影響によるものかもしれません。
ロシア輸出量の推移となります。
こちらで見ると、1999年前後には落ち込みは見られません。輸入よりも安定した推移を見せています。
やはり輸入量推移と同様に2000年から増加傾向に向かっています。
直近での推移がこちら。
輸入量と同様に2月に落ち込みが見られるだけで、全体的な傾向としては右肩上がりとなっているのがわかります。
こちらは1994年から2011年の経常収支です。
中国の経常収支と形状がよく似ています。
それにしても、ピークは2008年となっています。その後は上値を更新していません。
ロシア経常収支、直近での動きがこちらになります。
季節変動が激しいように見えましたが…どうも季節によるものではなさそうです。
この変動は基本的に商品価格の変動によるものかもしれません。
ロシア貿易収支1994年から2011年の推移です。
基本的な傾向は輸出入などと変わりません。
直近の推移がこちら。
2010年9月の落ち込みが気になるところです。このあたりは2009年に見られた商品価格の一時的な落ち込みによるもの…かもしれません。
ロシア株価指数の推移です。1998年から2011年になります。
こちらのボトムは1999年頃となっています。
GDP推移を1年ほど株価指数は先行している可能性があります。
直近でのロシア株価指数推移がこちら。
2009年から2011年の推移となります。
こちらは2009年にボトムを形成した後…2011年の4月頃にピークを形成したのでしょうか?
これは嫌なムードとなっています。
ロシアインフレーションレート1992年から2011年です。
1992年から1995年にロシアはソビエト時代の債券をデフォルトさせ、ハイパーインフレを引き起こしました。
このグラフを見てもわかるのですが、1989年から1995年は日本にとって北方領土問題を解決する最大の機会であったことがわかります。日本はバブルに溺れて馬鹿な行動を取っていたと言えるでしょう。
1999年にも急激なインフレを招いているのがわかります。
これはロシア財政危機のページに詳細な説明が記述されています。
単純に言うとアジア通貨危機の余波を受けて一時的にデフォルトを起こした一件を表しています。
直近に至っても不安定な物価となっていることがわかります。
なんと言いますか、ロシアは国民生活がかなり不安定な環境となっていることがわかります。
ロシア人の生活はかなり苦しいものでしょう。
こちらはロシア10年物国債の利回り推移です。
やはり商品価格の上昇と共にロシア経済が安定したことがわかります。
それにしてもかつて冷戦の一角であったとは思えないほどの衰退ぶりです。
こちらは失業率推移。1999年から2011年となります。
やはり景気の影響を受けて、直近では落ち着いた推移を見せてはいますが、それでも余裕があるわけではなさそうです。
好調とは言っても6%台となっています。
まだまだ広義の意味では不況と言える水準です。
こちらは消費者信頼感指数の推移です。
冷戦終結後の超ネガティブな推移を考慮すると、国民性もネガティブに振られやすいのかもしれません。
主要な輸出品である原油は下落を始めています。
貯金では70ドル台に突入しているのがわかります。
…つまりロシア経済は再びボトムを探る展開に入っていると言えます。
全体を通してわかるのは、ロシア経済の弱さでしょう。
かつての冷戦を担っていた国家とは思えない程の弱体ぶりが目に余ります。
直近では完全に石油価格の上昇による束の間の好景気を迎えていると言えます。
しかも、この数日ではそれが崩壊しているように見えるわけです。
今後の展開次第では再びロシア経済が悪化へ向かうことになるかもしれません。
そのような背景を踏まえると、ロシアによる日本への度重なる挑発行為も、中国と直接対立したくないロシアの懸命な日本引込みなのかもしれません。
さて、今後のロシア経済は…やはり石油価格にかかっていると言えます。
輸出統計(品目別)
最終更新日: 2010年08月26日
単位:100万ドル、%
2008年 | 2009年 | |||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
輸出総額(FOB) | 444,073.2 | 285,033.5 | 100.0 | △35.8 |
鉱物製品 | 312,230.0 | 192,069.7 | 67.4 | △38.5 |
燃料・エネルギー製品 | 307,633.6 | 190,020.1 | 66.7 | △38.2 |
金属および同製品 | 51,487.0 | 32,129.2 | 11.3 | △37.6 |
化学品・ゴム | 28,457.1 | 17,556.6 | 6.1 | △38.3 |
機械・設備・輸送用機器 | 20,235.6 | 16,619.6 | 5.8 | △17.9 |
食料品・農産品(繊維を除く) | 8,369.2 | 9,269.8 | 3.3 | 10.8 |
木材・パルプ製品 | 11,153.1 | 8,167.5 | 2.9 | △26.8 |
貴石・貴金属および同製品 | 7,164.1 | 5,037.3 | 1.8 | △29.7 |
〔注〕通関ベース
ベラルーシを含まず
ベラルーシを含まず
エネルギーが66.7%とかなり高い比率を占めています。
また、それ以外の産業が貧弱な状態です。
やはり全体を通してもロシアの台所事情が非常に逼迫しているのがわかるだけで、あまり将来性もありません。厳しい先行きとなりそうな国家と言えます。
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>やはり全体を通してもロシアの台所事情が非常に逼迫しているのがわかるだけで、あまり将来性もありません。厳しい先行きとなりそうな国家と言えます。
返信削除そうかな?資源国家だからブレるのは仕方ないとしても、その資源で稼いだ外貨を利用して内需活性化につなげれば、いい国が出来そうですよ。
御一読、コメント頂きありがとうございます。
返信削除ちょっと記述するのが面倒なのでオランダ病、オリガルヒ、ロシア財政危機、腐敗認識指数などについて調べるとロシアの概況がわかりやすいかもしれません。(ご存知なら申し訳ありません。)
プーチン大統領は、オリガルヒを追放したりしたことによって富の独占を揺るがしました。しかし、最近再びオリガルヒが返り咲く傾向にあるようです。
現在のロシアはオランダ病をより悪化させた根の深い状況にあると言え無くもない状況です。
そのような背景から、個人的には最後のコメントを記述致しました。
ご参考いただければ幸いです。