この記事では中央銀行による国債の買い取りについて考察してみます。
自国通貨政府供給政策 貨幣供給を政府に行い、実質的にマイナス金利を自由に生み出す手法についてにて、新しい内容を記述しております。
通常言われるマイナス金利とは異なりますので、まず、新マイナス金利1 新しいマイナス金利について から読まないと意味がわからないかと思います。予めそちらから順番にご参照ください。
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新マイナス金利13 アメリカへの適用例
新マイナス金利14 ユーロ圏への適用例
中央銀行による国債の買い取りには2つの条件により異なる結果をもたらします。
ここでは、2つに分けて考察してみます。
・中央銀行は買い上げた国債を政府に償還させる場合
この場合、筆者が考えるマイナス金利には相当しません。
市場の国債利回りが若干低下し、政府は国債による財政的な圧力を規模に応じてやわらげます。
仮に、この操作によって政府の財政を整えたければ時間がかかる可能性があります。
また、重要な点ですが、この操作では最終的に貨幣供給量が減少します。
この操作は、国債利回りの低下を引き起こすのに効果があります。
そして、操作を行ったときに利回りが低下するため、即効性が高いことが特徴と言えます。
ただし、償還時の政府の負担が利回り分しか低下しないため、国家規模では影響が非常に軽微となります。
特に国民の生活環境が改善させるには時間がかかり過ぎる点が最大の問題点と言えます。
・中央銀行は買い上げた国債を政府に償還させず、消却する場合
この場合は、筆者が考えるマイナス金利に相当します。
操作を行った瞬間から国債利回りの低下が生じます。
この操作では政府と、どのように連携するのかで国民生活改善の効果は変わります。
・国債の発行高>償却額
消却する額が小さいため、国民生活の改善は緩やかとなります。
・国債の発行高<償却額
消却する額が大きくなるため、国民生活は急激に改善することが可能となります。
ただし、日本の場合、中央銀行の支出が急激に膨れ上がる可能性もあるため、日本政府、日銀、財務省の密な連携が重要となります。
こうした操作を行う場合にも、最終的には債務、GDP、総資産のバランスが重要になります。
重要な指標を整理してみます。
B=(G+A)/D
G : 一人あたりGDP
A : 一人あたり家計金融資産
D : 一人あたり総債務
Bを100%から300%に設定する。
I = 1 - TMS / (TMS + GMS)
I : 金利
TMS : 全貨幣供給量と硬貨供給量の合計
GMS : 政府に対する貨幣供給量
GMSに中央銀行による償却額を当てはめます。
R=M/D
R:比率(以下MDR)
M:貨幣
D:債券
R=33%~300% を推奨します。より安全性の高いレンジは50%から200%です。
300%へ近づく、もしくは超えると債券の利回りが低下します。
→国家が成長している場合は債券の利回りを抑えます。また、有効な投資先がバブルへ向かいます。
→国家が不景気にある場合、利回りが低下します。有効な新規の投資先が無く、既存の投資先が劣化するため、都市銀行が貸し渋りや貸しはがしに走るようになります。
33%へ近づく、もしくは下回ると、債券の利回りが上昇します。
→国家が成長している場合は、国債の利回りが上昇し成長が鈍化します。有効な新規の投資先や既存の投資先は十分な資金を得ることが出来ずに衰退する可能性が高まります。
→国家が不景気にある場合、デフォルトのリスクが高まります。世界恐慌や世界金融危機がこれにあたります。
この上で、インフレーションレートを3%~7%に収まるようにします。
一部で、中央銀行による国債の買い上げをタコが自分の足を食べるような行為だと言っていましたが、こうした表現は曖昧すぎるかもしれません。
より詳細な数値によって国家運営を行うべきでしょう。
結論としては、基本的に中央銀行による国債の消却は良い効果をもたらす可能性が高いです。
ただ、国債を政府に償還させるべきではないでしょう。この場合、時間稼ぎ程度の効果しかもたらすことはできないかと思います。
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